2015年11月5日木曜日

平安 WOW!

説話集など読むと
叫び声は
「をう、をう」
であったりする。

「ou ou」とは叫べないよな、と思う。

「う」を長音記号とみなせば、
これは
「ウォー!」
なんだろうな。

例えば下の坊さんは
木の上で
「ウォー!ウォー!!」
とわめいてただろう。

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 …木の梢に叫ぶ声しけり
 怪しくて見上げたれば
 法師を裸に成して、梢に縛り付けたり…
 「阿弥陀仏!我を殺す人あり!!
  をう!をう!」
 とぞ叫びける
 …智恵なき聖はかく天狗に欺かれけるなり
  (宇治拾遺物語巻 念仏の僧 魔往生の事)

 …木の梢で叫ぶ声がするので
 「なんだ?」と思って見上げると
 (極楽に行ったはずの)坊さんが
 裸で木に縛りつけられていた…
 「阿弥陀さま~! 殺されるぅ~!
  ウォー!ウォー!!」
 と叫んでいた。
 …知恵のないこの坊さんは
  天狗に化かされていたのだった。
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上代は「を(wo)」「お(o)」であったが
中~近世は「お」「を」ともに「wo」であったり
「o」であったり変遷があるらしい。

ただ
「をう、をう」
ばかりは
「ウォー、ウォー」
でよいように思う。
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トイレで宇治拾遺物語を読んで、
そんなことを思ったのだった。

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