2016年5月1日日曜日

萬羽軒

神保町のすずらん通りは何百回も往復したが
横道はあまり知らない。

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ふと思いつきで曲がってみたら
文房具の並ぶ骨董品屋さんがあった
印材や硯からは足を洗ったつもりだが
見ればやはり気になる。
えてして入りにくいこの手の店だが
勇気を振り絞って扉を開くとご亭主はいたって愛想がよい。

ま「誰かに聞いてきたの?」
ぼ「いや通りすがりにふらっと」
ま「通りすがりに入られることのまずない店なんだけど
  珍しいなぁ」

蒙古の印材やら
端渓の水巌やらの話しをするうち
金沢の表立雲先生の名前やらなんやら
懐かしい響きがいろいろ出てきた。

會津八一や良寛の話の流れで
高校の恩師にして
いまも「文人趣味」つながりのある、
川野辺健司先生の名が出てきたときには
ご亭主(軒主?)の萬羽啓吾さんと僕と
両方で驚き、
萬羽さんは
「こういうことがあると思うと
 この商売やっていて本当に良かったと思う」
と云ってくれたが
僕も自分にこういう指向があって本当に良かったと
珍しく思った。

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ずいぶんたくさん語り、
余り長居しても、と思って辞したが
ただの30分ばかりのことだった。

ここ何年も活動しなかった心の領域が
久しぶりに活性化した。

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萬羽さんは良寛の研究、書の目利きで知られた方。

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いったんお店を出て
写真を撮らせてもらうともどったら
「そうそう、
 6/1の『ヒルナンデス』で取り上げられるから
見てよ」と
「いつもなら1枚3500円なんだけど…」という手書きの名刺を
もう1枚いただいた。

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